アートは生活必需品ではないけれど、アートと暮らす人だけが知っている、特別な「発見」や「楽しみ」があるはず。この記事では、「Casieのある暮らし」のさまざまなカタチを紹介します。今回お話を伺うのは、ご夫婦で住む50代のジロンさん。奥さまと交互に毎月絵を選んでいるというジロンさんに、アートとの暮らしについてお伺いしました。
思い切って始めた、アートのサブスク
Casieのことを知ったのは、テレビの「がっちりマンデー」で紹介されていたのを見た時です。この番組は好きで毎週録画していました。
サブスクなんて自分には関係ないと思っていましたが、アートのサブスクにはなんだか興味が湧きました。本物の絵を自宅に飾るなんてことは今まで考えたこともなかったのですが、料金も払えない額ではないし、飾れそうな壁もあったので思い切って始めてみました。
初めて手に取った絵、初めて知った妻の好きな色
最初にレンタルした作品は、妻が選んだNAOさんの《ネモフィラ》です。植物の絵の中から、好きな青色を選んだとのことでした。実は妻が青い色が好きだっただなんて、初めて知りました。
初めて届いた時は、ドキドキしてどうやって箱から出そうかと緊張しました。実物の絵を手に取ってみると、一筆一筆の様子が見えて感動しました。また、キャンバスの絵を見たのも初めてで、縁にまで回り込んで描いてある様子に驚きワクワクしました。
注文した時は、我が家に絵を飾るということがどういうものか不安もあり、継続できるか心配でした。しかし、飾ってみるととても心地よく、今度は違う絵も見てみたくなりました。
それから一年と少しで、13枚もの絵を毎月交換し飾ってきました。実物が届いてみるとスマホの画面で見た印象と実物にギャップがあることがあります。サイズが小さく感じたり、色合いが違って見えたり……。届いて飾った後、「いいね」とか「あれーっ」と妻と2人で評論家ぶっています。
印象に残っている作品はwakaさんの《廃バスのある景色》です。まさか廃バスが絵になっているなんて。これもまた素晴らしいと思いました。
一番のお気に入りは、Yoshiko.nさんの《心待ち》ですね。まさに一目惚れ。彼女がいた1ヶ月間は幸せでした。
同じ県内に住む次女は月に一回程度自宅に寄るので、その都度絵を見せびらかしています。絵の感想の他に、なぜこの絵を選んだのかを探られるのです。
《廃バスのある景色》の時は、「父親らしいね」という感じでしたが、《心待ち》の時は「……クスクス」と。私が「きれいな人でしょう」「素敵でしょう」と声をかけるほどに、なぜか沈黙が深まっていく感じでした(笑)。
妻と交互に絵を選ぶ楽しみを続けていきたい
初めての時は、妻が選んだ絵を見せてもらいながら一緒に注文しました。そこで、次は自分が選ぶよと提案する形で毎月交互に選ぶことになったのです。妻の番の時はどんな絵を選んだのか、私は全く知りません。いざ実物が届いて初めて「おおっ」となる感じです。自分の番の時は、この絵を、と指定して妻に注文してもらいますが、そこでダメ出しがあることはないですね。妻は基本的に冒険しない人なので、安定した選択をしています。選び方に違いが出るのも楽しいところかもしれません。
これからもこんなふうに、お互いの好みを茶化しあいながらも、絵を毎月交換して利用していきたいです。