【おしえて推しアート】光と影のゆらめきを描く野菜党さん

記事「おしえて推しアート」では、Casieスタッフが自分の推しアーティスト本人に直接インタビューをします!


今回は、CSのミクによる、推しアーティスト野菜党さんへのインタビューです。



野菜党
東京都出身のアーティスト。法政大学出身。
作品テーマはいつも「光と影」そして水面に映る景色。森の木漏れ日や、グラスに当たる光、窓辺のガラスに映る緑、水の流れや打ち寄せる波を描き続けている。


娘たちの夏祭り野菜党


──まず、《娘たちの夏祭り》。この作品は今年の夏のCasieアートコンテストに出品されていて、一目惚れした作品です。野菜党さんは「光と影」を常々テーマにされていると思うのですが、ただただ光と影の表現が美しいと思いました。3人の娘たちが普段は着ないような浴衣を着て、ちょっとくすぐったいような気持ちで、夏祭りに出かけていくストーリーを後ろ姿で見せているところにすごく色気を感じます。


この絵は、田舎のお祭りの時の娘の写真を元にしているんです。昔はよく紀州・熊野での盆踊りの様子をたくさん撮っていて、その時のイメージを寄せ集めてつくった作品です。真ん中にいるのが娘、左右にいるのは姪っ子がモデルですね。人間の動きを描きたいっていう思いがあって、左の二人は話しながら、右の娘は勝手に上がっているというような、だから3人ともそれぞれの自然な動きをしています。


──ご自身で撮影された娘さんの写真なんですね。なんだか愛情深さというか慈悲深さを感じるのはそのせいかもしれません。このお写真を撮られたのは娘さんが何歳頃の時なのですか?


15,6歳頃なので、今からいうと30年くらい前ですね。他の絵も、女の子を描くときはだいたい娘がモデルなんです。《娘たちの夏祭り》はあまり苦労せずに描けた作品で、1週間くらいで描いたので、制作時間はトータル4,5時間でしたね。いつも仕事から帰ってきてから、1日30分くらい絵を描いています。


──トータル4,5時間!思っていたよりも短時間でビックリしました。画材はいつも何を使われているんですか?


ホルベインで、透明水彩です。水彩画に関しては独学です。水彩画の場合は光と影とさらに水があるといいんですよね。光と影の中から浮き上がってくるようなイメージはいつも持っています。


──水が描かれている好きな作品があります。《涼夏》です。桶に張った水の透明感や涼む姿に音や香りや温度を感じた作品です。あと、ヘアスタイルがショートカットというのも自分と同じで親近感を感じました。先ほどの《娘たちの夏祭り》とともに、野菜党さんの絵は動画のように見えるということに気づいた作品なんです。


《涼夏》野菜党


この作品は、桶の水の冷たさがどうしたら出るんだろうと思っていまして、左手の表情が決まらないとこの絵はダメだなと考えていました。左手を添えかけているっていうのが涼しさの表現です。それから水の動き。これはいい水になったなと思います。


──この作品のモデルも娘さんですか?


この絵も娘がモデルです。この頃は確かショートヘアだったのかな。田舎ではよく日向ぼっこをするので、そんなイメージですね。元になった写真では娘は浴衣を着ていなかったのですが、浴衣の方が風情が出ると思ってイメージで描いています。


──では、次の推し作品もご紹介したいと思います。《朝焼けの富士》です。じつはこの作品は実際にレンタルして家に飾らせていただいています。山の稜線の写実的な表現と、空や手前の樹海の表現とのコントラストが面白くて好きです。この作品も私にとっては動画に見えるんですよね。夜から朝にかけてのその時間の流れとか、空気の流れをすごく感じる作品です。


《朝焼けの富士》野菜党


これも写真を元に描いた作品です。色のバランスに重きを置いて描いていて、ここにこんな色を置いたら面白いなと考えたり……なので元の写真とはずいぶん違いますね。水の分量を調整しながらそれぞれの色を置いていく中で、手前は写実的に描くのではなくて版画のように筆を置いた方がいいかなと思ってこのようなコントラストある表現になりました。


富士山を描いたのはこれが初めてではなくて、娘夫婦が房総半島の鋸南という海岸べりに住んでいて、夕陽をバックに見える富士山の写真を毎週送ってくるんです。それで富士山はよく描いてるんですよね。


──毎週写真のやりとりをされているなんてとても素敵です…!野菜党さんは、娘さんとの時間や思い出をよく絵に描いているんですね。


そうやって言われてみると、そうかもしれませんね。


ただ、やっぱりそれ以前に絵を描くことが好きで描いているんだけなんです。絵を描いている時間が好きで、その時間は他のことを忘れられます。


20歳くらいまでは油絵を描いていたんですが、ある事情ですっかり辞めちゃって、30年くらいは辞めてしまって、50歳過ぎた頃に「俺、絵を描いてたよなぁ」って自問自答するようなことがあったんです。また油絵を描こうかなと思ったのですが、家で描くのには匂いが気になるし、画材代も高いので、小学校でやった水彩画をやってみようと思ったんです。油絵よりも色の扱いが難しくて苦戦したりもしました。デッサンは20歳までにやっていたので、自転車と一緒で、時間が経っても形をとることはできたんですよね。そうやってまた絵を描きはじめて、今は絵を描くという時間に私自身が癒されています。


娘もね、「お父さんの絵わたし好きよ」って言ってくれるんです。結構見てくれてるんですね。娘は私の味方なんですよ。父親っていうのは娘に弱いですからね…私も娘の味方です。なんだか絵の話からは脱線してしまったけれど、自分の描いた絵を「これが好き」と選んで飾ってくれる方がいるっていうのは幸せなことです。


──これからも野菜党さんのアートを楽しみにしています!


野菜党さんのアートと過ごす時間は、私にとってとても穏やかなひとときです。

どの作品を見ても同じような「穏やかさ」や「ほっとする気持ち」を感じていたのですが、野菜党さんのご家族、特に娘さんとの思い出が描かれているからなのかな、と自分なりに解釈できたような気がしています。

今回のインタビューは私にとって大切なギフトになりました。
推しアーティストがいるということ、推しアーティストとのやり取りの中で更にアートへの想いを深めていくこと、大変豊かな体験をありがとうございます。

Casieカスタマーサクセスチーム ミク