記事「おしえて推しアート」では、Casieスタッフが自分の推しアーティスト本人に直接インタビューをします!
今回は、アーティストサクセスを務める琴乃による、推しのyoko.tさんへのインタビューです。
yoko.t
広島県出身のアーティスト。透明水彩画の美しさが魅力の作品を描く。
経歴:広島県美術展入選 日本国際水彩画会入選
《restaurante バルセロナの夜》yoko.t
──まず、わたしイチオシのyoko.tさんの作品《restaurante バルセロナの夜》について教えていただけませんか? この作品が大好きで、yoko.tさんの作品の中でも詩的で、心情風景なんかも描かれているのかな、と思うんです。
yoko.t:おっしゃるようなことを感じていただけていたら嬉しいです。バルセロナの夕暮れ時のそこはかとなく空がピンクになって夜に変わってくる時の写真を撮って、絵に描きました。この絵を観た人が、空が変わる瞬間をイメージしてストーリー性を想像してくださったらいいなと思っています。
実際の風景を切り取った写真の色合いを参考にしながらも、さらにイメージを膨らませて、水彩画の魅力が伝わるような表現を目指しています。
《restaurante バルセロナの夜》の元になった写真
自分が実際に見た景色を、透明水彩で描く
──好きな作品のことをこんなふうに聞けて嬉しいです。実際にお仕事やご旅行に行った場所で、ご自身で写真を撮られているんですか?
yoko.t:この絵はバルセロナに旅行へ行ってレストランで食事をした時に撮った写真で、実際に見て撮った風景ですね。外国に行くのが好きで、中でもイギリスが一番好きです。コロナ以前は年に1回か2回は行っていました。
──yoko.tさんがCasieにお預けしてくださっている絵は全て外国の風景がモチーフになっているようなのですが、すべてご自身で実際に見られた風景なんですか?
yoko.t:絵を描く時には、実際に自分で撮った写真を描くことをモットーにしています。インターネットで見つけた風景を描いたりすることはしません。オリジナルの写真は、構図の難しさもありますが、自分のなかの決め事にしています。
ヨーロッパなどへ旅行に行ったら、どこを見ても絵になるので、気がついたら1,000枚くらい写真を撮っているんです。そこからイメージが沸いたものを絵にします。
《おとぎ話の家Oaklandの秋》の元になった写真
例えば《おとぎ話の家Oaklandの秋》は、シカゴから少し離れた高級住宅街に鬱蒼と高い木が立つなかにおうちが佇んでいて。写真に撮るとまるでおとぎ話に出てくるおうちのようで、そこからイメージを膨らませて描きました。
《おとぎ話の家Oaklandの秋》yuko.t
──yoko.tさんの作品はすべて透明水彩で描かれているのでしょうか?
yoko.t:はい。イギリス・ロンドンの先生に師事していて、その先生の描き方で描いています。水彩絵の具のWinsor&Newtonの7色をほぼ基本に使って、白と黒は使いません。透明水彩と謳っているので、透明感のでるような絵の具の使い方をしています。
イギリス製の絵の具 Winsor &Newton
yuko.tさんが主に使う基本7色ウィンザーイエロー、レモンイエロー、パーマネント アリザリン クリムソン、セルリアンブルー、ウィンザーブルーレッドシェード、ウィンザーグリーン、ウィンザーバイオレット
ボタニカルアートで培った、自然へのまなざし
──透明水彩画をはじめたのはいつ頃なのでしょうか?
yoko.t:先生に師事してから5、6年です。その前は植物図鑑に載せるようなボタニカルアートを10年くらい描いていました。よく観察して、写真のように細密に、色鉛筆でストイックに描く修行のような絵です。
──yoko.tさんの作品は自然の細部にまで感動して描かれているように感じるので、ボタニカルアートを描かれていたと聞いてとても納得しました。植物の表現もすごいです。
yoko.t:観察をしなければいけないことが、身についているからかな? 植物の葉のつき方や枝の伸び方、花のつき方を10年間見続けていました。
絵の中にストーリーを感じてほしい
──yoko.tさんの絵を見るときにこんなふうに見てほしいな、というのはありますか?
yoko.t:絵の中にちょっとした小さなストーリーを感じていただけたら一番嬉しいですね。色を感じるかもしれないし、音を感じるかもしれないし、風を感じるかもしれないし……絵の空間の中に見たものだけじゃない、ご自分のストーリーを想像していただけたら楽しいなと思います。
《ポルヴォーの夏ⅱ Finland》yoko.t
「絵の中にちょっとした小さなストーリーを感じてほしい」というyoko.tさんの作品テーマのとおり、《restaurante バルセロナの夜》を見ると波の音や、風を感じる気がして、実際にその景色の中に入ったような気になれるんです。
作品が描かれた背景だったり、こういう想いが込められていたりというのを知ると、作品に対する愛着というか、好きという気持ちがより深まりました。
1枚、「推し」の絵があるってめっちゃいい!
みなさまも自分だけの推しアートを見つけてみてください。
Casie 琴乃