【おしえて推しアート】画材をかろやかに越えてゆく、もやのすけさん

記事「おしえて推しアート」では、Casieスタッフが自分の推しアーティスト本人に直接インタビューをします!


今回は、アーティストサクセスやユーザーサクセスのマネージャーを務めるあきひろによる、推しのもやのすけさんへのインタビューです。


もやのすけ
ー繊細なから描き込みから見える、独自の世界観。ー
群馬県出身。 第49回KFSアート・コンテストイラストレーション・デザイン部門 入選 第48回KFSアート・コンテスト U-18部門 三品彰豊スーパーバイザー賞 H28『スマイル展 curated by ホフディラン』参加


黒一色で挑戦した表現の幅


──まず、僕のイチオシ作品《植物園》について教えていただけませんか?


《植物園》


もやのすけ:これはリトグラフの作品です。黒一色だけで刷ることにチャレンジしていて、リトグラフで可能ないろんな表現を取り入れています。試行錯誤の後も残っているのですが、気に入っているのでCasieに出させていただきました。


──そうなんですね! この作品を見た時に、モノクロなのにすごく表情豊かな作品だと思ったんです。版画ってもっと細い線のイメージがあったので、池のにじみや、草の引っ掻いたような表現なんかが僕の知らない版画の世界だったんです。白黒だけでこんなに表現ができるってすごく面白いなと感じました。


《植物園》 部分


もやのすけ:ありがとうございます。私も美大生の時にリトグラフを習ったのですが、技法の幅広さを初めて知った時はびっくりしました。《植物園》では、柔らかいタッチや硬い表現など「色々やってみる」をテーマに挑戦していたので、伝わってとても嬉しいです。



インスピレーションの源は自然


──《植物園》では技法のチャレンジがあったようですが、もやのすけさんは、何にインスピレーションを受けて絵を描き始めるのでしょうか?


もやのすけ:旅行やキャンプをするのが好きなので、自然に触れて写真を撮ってきて、モチーフにして描くことが多いですね。それから構図を考えます。逆にイメージが完全に固まっていて、パーツを集めていくこともあります。


《ぽんぽことまろやか山脈》イメージの元になった写真


《ぽんぽことまろやか山脈》完成


最近はだいたい構図を決めたら、タブレットで色をつけて自分の中でイメージを明確にしていきます。


《やわらか波紋》のイメージの元になった写真


《やわらか波紋》ラフ


《やわらか波紋》色のイメージ


《やわらか波紋》完成


もやのすけ:だいたい色を決めたら、なんとなく雰囲気が決まります。その絵にあった画材を選ぶようにしています。


──なるほど、構図がまず決まって、色をあててみて、それに一番合う画材を選ぶんですね。


もやのすけ:《やわらか波紋》は日本画で描いています。日本画の色って結構鮮やかな色が多いところが面白くて、気に入っています。


──日本画ってもっと渋いイメージがあったので、明るい印象の《やわらか波紋》が日本画って認識するのにちょっと時間がかかったんですよね。


もやのすけ:やっぱり部屋に飾っていただいた時に、自分だったらこんな絵が飾れるといいな、明るいといいな、という印象を意識して書いています。人の手に渡って観ていただくものなので、ちょっと強い言葉だけど、独りよがりにならないように、と思っています。


──《やわらか波紋》は水面がモチーフですが、日本画なので実物の質感が、ザラっとしてるんですよね。アクリルとかつるっとしたものを選びそうなのに、ザラっとしてるのが面白いなと思います。違和感というかギャップに惹きつけられます。


もやのすけ:日本画のザラザラ感が面白いなと思っていて、つるつるの絵も好きなんですけど、ちょっとざらっとしていた方が、目で見た時に情報が増える気がするんですよね。


《深雪》


画材を変えて気分転換する


──《植物園》はリトグラフ、《やわらか波紋》は日本画、《深雪》はアクリル……と技法が異なりますが、いろんな画材を使うようになったきっかけはあるのでしょうか?


もやのすけ:毎日毎日絵を描き続けているので、画材を変えることでちょうどいい気分転換になるんです。人それぞれだと思うんですけど、私は画材を変えていますね。


──僕の中でアーティストさんは一つの描きかたに絞るイメージがあったのでマルチだなぁと感じます。リフレッシュになっているんですね。


もやのすけ:そうですね。このスタイルならずっと、いくらでも描いていられるなぁと感じます。



やっぱり実物を見てもらいたい


──もやのすけさんの絵を「ここをみてほしい!」っていうポイントがあったりしますか?


もやのすけ:やっぱり、実物を見ていただけると嬉しいですね。アナログの絵ってやっぱり実物が本物なんです。SNSにアップするために写真を撮ったりするんですが、どうしても色が違ってしまうんですよね。だからやっぱり実物を見てほしいと思います。


──これからアーティスト活動をどうしていきたいですか?


もやのすけ:以前は「本の表紙をやってみたい」とかあったんですが、今はひたすら絵を描いていたいなと思います。絵を描き続けられれればいいな。

Casieでレンタルを始めてから、絵を借りてくれる人がいるんだ! と励みにはなっています。自分一人で描いているよりも、反応や目標があった方が筆が進むんです。


──僕らも、ユーザーさんの感想や反応をもっとアーティストさんにお伝えする機会が増えたらいいなと思っています。


《白秋のフサフサ》



好きなアートを1枚見つけると、世界が広がるんです。

好きになったから、知りたくなる。
モノクロでなんでこんなに表情豊かなのか。

自分が好きになった理由を作品から探してみると、
なんとなくですが、わかってくるんです。
「あー。だから好きなのか〜。」って。

今回のインタビューで僕は、僕がこの絵を好きな理由をもやのすけさんに直接伝えました。
そして、それがどんな背景で描かれたのかを教えて頂きました。

やっぱり、知れば知るほど面白い。
自分の想像が合っているところもあれば、全然違う答えだったりもしました。

「あ、認識は違っててもいいんです。アートは見る人に委ねられているので。」

もやのすけさんが言ってくれたんですが、そう言ってもらえると
アートに詳しくなくてもいいんだ。って思えますよね。

最初は「この絵なんかいいな。」ってライトな気持ちから
アートを楽しめばよくて、僕にとってのその1枚がもやのすけさんの作品でした。

みなさんもぜひ、お気に入りの一枚を見つけてみてください。
そしてお手元で、じっくり眺めてみてください。

きっと新しい発見がありますよ。

Casie スタッフ あきひろ