都会的で洗練された「空間」を完成させるアート

あの絵を描く、あの人は、どんな人生を送って、どんなことを考えながら生きてきた?

Casieに所属する人気アーティストにインタビューするこの企画。

第23弾は、miotokyo。都会的で洗練されたイメージを持つ彼女の作品は、インテリアにこだわりを持つ個人宅やオフィスなどをはじめとし、多方面から注目を集めている。

作品のコンセプトは、“空間を豊かに、シャープに引き立てるアート”。自身の制作について、美術家よりもデザイナーの感覚に近いと語るmiotokyoさんの気になるルーツとこだわりに迫ります。


miotokyo(ミオトーキョー)
オランダ・イギリスへの留学を経て、現在は東京で活動中。「空間を豊かに、シャープに引き立てるアート」がテーマの作品は、モデルルーム、ホテル、オフィス、個人宅などから好評。
Instagram:https://www.instagram.com/miotokyo_art/


ロンドンの街で感じた「多様性」


ーー学生時代は、オランダ、イギリスなどに留学をされていたそうですね。


miotokyo :父の転勤がきっかけで、中学生の頃、オランダのアムステルダムに4年間在住していました。その後、大学時代にイギリス・ロンドン大学へ留学に行きました。オランダに住んでいた時に行って、一番好きになった街がロンドンだったので、その環境にまた身を置きたいと思ったんです。


↑「FLOWER FIELDS」miotokyo


ーーロンドンの、どういった点を気に入っていたんですか?


miotokyo :色々なものが混ざり合っていて、多様性に富んでいるところですね。人種も様々でイギリス人以外が90%以上を占めているし、建築物も旧来型から現代のトレンドまで混ざり合っていて。美術館や博物館の入場料が全部無料なのも、いいですよね。


ーー海外での暮らしは、現在のアーティスト活動に影響していますか?


miotokyo :そうですね。幼い頃から絵を描くことが好きだったのもあって、色々な国の美術館に足を運んでいたことは、すごく影響していると思います。今のような抽象画を描き始めたのは、大人になってからなのですが、中学生の頃から、一眼レフで撮ったヨーロッパの風景写真を見ながら写実的な絵を描いたりしていました。


↑「LAKE (NAVY)」miotokyo


ーー現在のような抽象画へ変化していったのは、なぜだったんですか?


miotokyo :だんだん、写実的な絵を描く「意義」について考えるようになってしまったんですよね。そこから、絵でしか表現できないものを追求するようになっていって、今のスタイルに変化しました。今思い返せば、幼い頃から、“描き始めてからどんどん考えが広がっていく感じ”がすごく好きで、枠にとらわれず表現できる面白さを、絵に求めていたんだと思います。紙とペンだけでも、可能性が無限大にあるじゃないですか。


ーーなるほど。そうするとやっぱり、写実的な作品よりも、今のような抽象画の方があっていそうですよね。


miotokyo :間違い無いですね。特に私が描いている抽象画って、元々ある何かを抽象化している訳ではなくて、自分の頭の中にある「実在しないもの」を、思いつくままに表現していることが多くて。よく「何を描いているの?」と聞かれることがあるのですが、あえて答えるならば、“今まで自分が出会ってきた美しいと思うもの”を、自分なりに頭の中で再構成して、それを作品に落とし込んでいる感じなんですよね。


↑「FLOW - MONOCHROME」miotokyo


ーー何か1つの物からインスピレーションを得るというよりも、今まで見てきた色々なものや要素が混じり合っているということですね。


miotokyo :そうですね。昔から「綺麗だな」とか「美しいな」と思ったものをクリッピングしたり、集めたりすることが好きで。ヘコんだ時とか、ふとした瞬間に眺めて、ポジティブなエネルギーをもらったりしてきたんです。


ーー集めていたのは、例えばどんな素材だったんですか?


miotokyo :綺麗なモデルさんの写真もあれば、宇宙のかっこいい写真や、折り重なった地層の写真もあります。とにかく自分が綺麗だと思ったバランスや色合いのものをジャンル問わず集めて、いつでも見れるようにしていましたね。


ーーコレクションするような感覚ですか?


miotokyo :どちらかといえば、お気に入りの服を身に纏っていると気分が上がるような感覚に近いのかもしれないですね。自分が美しいと思うものを身近な空間に集めると、すごく気分が上がるんです。


空間を豊かに、シャープに引き立てるアート


ーーmiotokyoさんの作品は、「どんな空間にも映える」ということが人気である理由の1つかと思いますが、制作する上で意識している点はありますか?


miotokyo :私自身「空間を豊かに、シャープに引き立てるアート」をコンセプトに制作していて、芸術家というよりもデザイナーに近い感覚で制作をしているかもしれません。なので、空間のイメージを自分の中である程度思い浮かべてから描くことが多いですね。例えば、海が見える「綺麗な空間」「スタイリッシュな空間」「和モダンな空間」とか。そこに飾るならどんな絵だろう? と考えながら描いています。



ーーなるほど。実際にお客様がmiotokyoさんの作品を飾っている写真をよくSNSで見かけているので、その話がすごくしっくりきますね。


miotokyo :私自身もCasieさんのお客様とはすごく相性がいいのかなと感じています。いわゆる美術史に残るような「投資商品としてのアート」という路線を、実はそこまで目指していなくて。もっと、身近に感じてもらえるような「インテリアの理想を叶えるアート」を提供したいなと思っているんです。理想の空間を完成させるための1ピースであって欲しいなって。


家やインテリアに「こだわり」を持つ時代に


ーー本格的にアーティスト活動を始めたのが2019年からとのことですが、それまでには、どんなお仕事をされていましたか?


miotokyo :会社員として、コンサルティングのお仕事をしていました。ゆくゆくは1本で、という気持ちはありますが、やっぱり絵1本で生計を立てていくのって、かなり難しいなと実感しています。最近では、日本でも「家に絵を飾る」という文化が、少しずつ開拓されつつあるような気がするので、その市場がもっと広がって、私含め色々なアーティストが、もっと活躍できるようになったら嬉しいですね。


↑「DEEP WATER」miotokyo


ーーそうですよね。少し拓けてきたなという感覚は、miotokyoさんにも自身もありますか?


miotokyo :ありますね。ご時世的に在宅ワークもどんどん増えているので、家にこだわりをもったり、インテリアにお金を使う人が増えてきたんじゃないかなと感じています。それこそ、特別定額給付金で、私の作品を購入してくださった方もいました。


ーーわ、それは嬉しいですね!


miotokyo :私の作品は、元々そういったコンセプトだったので、たどり着いて選んでくださったことがすごく嬉しかったです。自分が毎日過ごす空間を豊かにしたいという思う人が増えるのは、とてもいいことだなと思います。


ーー現在はwebでの発表や販売がメインかと思いますが、今後リアルでの発表も視野に入れていますか?


miotokyo :そうですね。いつか個展を、やってみたいです。アーティスト活動が軌道に乗ってから、まだ1年くらいですが、作品自体は何年もかけて大量に描いてきたので、家に400〜500枚くらいあるんです。最近では、購入してくださったお客様や、作品に興味を持ってくださる方から「個展の予定ないですか?」という質問をよくいただくので、この先、実現できたらすごく嬉しいですね。



Best Art Spot

miotokyoさんがアートを感じるスポット


銀座 / 東京都



「銀座」といえば、スタイリッシュで洗練された都会の街というイメージが強いと思うのですが、その中でも古き良きクラシックな部分もあったり、色々なものが複雑に混ざり合っている街だと思うんですよね。歩いている人も建物も含めて。それが、今まで自分が絵で表現してきたものと通じる部分があるなと思っていて、私にとっては、インスピレーションの塊とも言える場所です。

少し背伸びしたお洒落をして出かけると、それだけで気が引き締まるし、ボジティブなエネルギーをもらえる、そんな街ですね。



My Rule

miotokyoさんが絵を描く上でのルール


「独自ブレンドのオリジナルカラーを使う」



自分がイメージする理想の世界観を完全に表現するために、作品に使用するカラーは、ほぼ全て独自にブレンドして作っています。

特に、ほぼ全ての作品にアクセントとして入れる「ゴールド/シルバー系のカラー」にはこだわっていて、微細な色の違いを基調色に合わせて使い分けられるように、20種類以上作っていたり。自分で作った色は保管して、一覧にしたオリジナルのカラーパレットも作っています。

作品のデザインが削ぎ落としてシンプルなものが多い分、色味には徹底的にこだわっています。