オーストラリアで決意した南国アーティストとしての夢

あの絵を描く、あの人は、どんな人生を送って、どんなことを考えながら生きてきた?

Casieに所属する人気アーティストにインタビューするこの企画。

第17弾は、MIKI HATANO。東京都八王子市出身の絵画アーティスト。南国の雰囲気漂う作品は、いわゆる大型リゾート地というよりも、南国の田舎町を思わせるような、おだやかな色合いが心地いい。

幼い頃から、短期留学やワーキングホリデーなどで海外での暮らしを経験してきたという彼女。このインタビュー当時もニュージーランドに滞在中だった。日本とニュージーランド、電話を通じて語ってもらったHATANOさんのルーツをお届けします。(※現在は無事帰国中とのこと!)


MIKI HATANO(はたのみき)
東京都八王子市出身、八王子市在住。就職後3年間続けた仕事を退職し、フィジーへの短期留学やオーストラリアへのワーキングホリデーなどを経験。2017年に自身のブランドである<Hau’oli>を立ち上げる。センス溢れる色使いの南国アートとオリジナルグッズが人気のアーティスト。
Instagram:https://www.instagram.com/hauoli_miki_/
web site:https://www.hauoli.club/


ニュージーランドで「絵」と向き合った半年間


ーー現在(取材当時)HATANOさんが、ニュージーランドに滞在中ということで、今日は国境を超えたインタビューですね!


MIKI HATANO(以下、HATANO) :はい、今はLINE通話やスカイプで簡単に繋がることができるので嬉しいですね!


ーーニュージーランドには、どのくらいの期間滞在しているんですか?


HATANO :ワーキングホリデーで、昨年から約半年間滞在しています。本当は5月中旬に帰国する予定でチケットを取っていたんですけど、コロナでこういう状況になってしまって……。


ーー本当に予想外の事態ですよね。海外に1人となると、より不安なことも多いのではないでしょうか?


HATANO :そうですね。ロックダウンの時期は周りのお店も全部閉まっていて、外に出れない状況だったので、1ヶ月は自宅に引きこもるような生活でした。6月には帰国できたらいいなと思っているのですが、今はまだ何とも言えない状況ですよね……。


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ーーニュージーランド滞在中は、主にどんな活動をしていましたか?


HATANO :英語の勉強はもちろんですが、絵を描くことに集中するためにニュージーランドに来たので、毎日絵を描いています。滞在先の周りにあまり画材屋さんがないため、日本から画材を持って行こうかなと悩んだのですが、あえて「白」だけを持ってきて、他の色は現地調達しながら描いています。


ーーそれはなぜですか?


HATANO :長年絵を描いていると、だんだん自分の中で使う色味が決まってきてしまうんですよね。その縛りから脱却するためにも、あえていつも使っている絵の具たちは置いてきました。


ーーなるほど! 実際にニュージーランドで過ごした半年間はいかがでした?


HATANO :すごく来て良かったなぁと思っています! 今までの雰囲気とは違う、新しい絵にトライできたりもしましたし。

ブランドHau’oliを立ち上げた年から去年まで、すごい忙しい日々が続いていて。絵とブランドの仕事だけでは食べていけないこともあり、早朝バイトに行って、帰ってきてから絵を描いたり物を作ったりして。夜は早く寝なくちゃいけないし、1日1日があっという間に終わっていく感じだったんです。ニュージーランドでは、久しぶりに自分とゆっくり向き合う時間が作れたと思います。


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ーーHATANOさんにとって、いい半年間だったのですね。


HATANO :そうですね。でも帰国後も、まだまだ考え事は尽きないと思います(笑)。画家だけで食べていける人って、本当に一握りもいないと覚悟しているので、将来を考えると、まだもどかしく不安な部分もありますね。


くすぐられる「フェチ心」


ーーHATANOさんのルーツとして、短期留学やワーホリなど海外での暮らしは大きく影響していると思いますが、幼い頃はどんな子供でしたか?


HATANO :幼い頃から絵を描くことや、物作りが好きでした。と言っても、今のような作風ではなくて、漫画風な女の子の絵ばかり描いていて。小学校高学年では、本格的にコマ割りをして描いていましたね。私、幼い頃から自覚している、“フェチ”があるんですよ。


ーーどんなフェチですか?


HATANO :「人の手」や「靴」のフォルムを描くことに、すごくこだわっていたんです。描くだけじゃなくて、それを見るのもすごい好きで。すごく変人っぽい話なんですけど(笑)。


ーー例えばどんな部分に惹かれていたんですか?


HATANO :人の手にも靴にも、個人的な「黄金比」みたいなものがあるんですよね。


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ーーへー! 良いなと思う「手」や「靴」を描く作家さんはいますか?


HATANO :靴でいうと、漫画「セーラームーン」が好きです。セーラームーンってヒールの高い靴がいっぱい出てくるんですけど、そのヒールを横から見た“カツン”とした感じがたまらなくて!

手でいうと「ママレードボーイ」の作者・吉住 渉さんの描く手がすごい好き。とっても美しい手をを描かれるんですけど、当時も漫画を見ながら勉強した記憶があります。


ーー実際に見てみると、そのフェチ心、なんだか分かる気もしてきました(笑)。今現在のHATANOさんは、あまり人物を描かないですよね?


HATANO :そうですね。今は全く「人物」は描かなくなりました。でも漫画とかを読むと、ついつい「手」や「靴」に注目してしまったりするので、フェチ心は今も残っているかも(笑)。


「MIKIは、絵でやっていった方がいいよ」


ーー実際に「絵を仕事にしよう」と思ったのは、いつだったんですか?


HATANO :漫画を描いていた頃は、それを仕事にしようなんて全く思っていなくて、仕事にしたいなと思ったのは、ワーホリ(ワーキングホリデー)でオーストラリアにいた時ですかね。


ーーどんなきっかけで?


HATANO :オーストラリアに半年間住んでいる時、日本にいる大親友から結婚の知らせを受けて「式で使うウェルカムボードを描いて欲しい」と頼まれたんです。その時、はじめて1ヶ月くらい時間をかけて絵を描いて。改めて「絵を描くことって幸せだな」って思って。そのウェルカムボードが完成した時、自分でもいい出来だなと思えたし、周りの友人からも「MIKIは絵でやっていったほうがいいよ」と言われたんです。


ーーそこから、今のHATANOさんがあるんですね。


HATANO :そうですね。その言葉が背中を押してくれて、「絵でやっていこう」と決めました。


ーー「南国」というテーマは、当時からですか?


HATANO :そうですね。当時滞在していた街も「南国」だったし、自分自身も南国が大好きなので、当時から「南国」をテーマに描いています。皆さんに観て欲しいですが、サーファーやハワイアン好きな方に、気に入ってもらえた時は特別嬉しいですね!


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ーーHATANOさんが本格的に画家として活動をはじめてから約7年。ニュージーランドから帰国後はどんな活動をしたいと考えていますか?


HATANO :絵だけで食べていくという目標のために、この7年間色々なことにチャレンジしてきました。挿絵を描くために出版社へポートフォリオを持ち込んだり、手作りのグッズを作ってみたり……、自分で閃いた事やチャレンジを勧められた物事は、結果に繋げられるかどうかより前に、極力行動に移すようにしました。初めての物事は、正解・不正解かが不透明なまま実行してきたので、改めて個人で商売をする難しさをたくさん感じましたね。

今の目標は「原画」を、たくさんの人に手に取ってもらうこと。まだまだ日本では絵を飾る習慣がなかったり、原画に対して価値を感じてくれる人が少なかったりするけれど、それを変えていきたい。そして、自分の活動の幅も広げたいなと思っています。今までの経験を活かして、国内だけでなく海外のアートフェアにも積極的に出展してみたいなぁと思っています!




Best Art Spot

HATANOさんがアートを感じるスポット


ヌーサ(Noosa) / オーストラリア


HATANOさん撮影


ヌーサは「絵で頑張ろう」と決めた場所。私にとって、1番のパワースポットです。最初に訪れたのはワーキングホリデーで、半年間ほど住んでいました。すごく小さい街なのですが、すごくおしゃれで、完璧な場所なんです。


HATANOさん撮影


ヌーサには「ヤシの木よりも高いビルを建ててはいけない」というような、素敵なルールがたくさんあるのですが、お店の中に木が立っていたり、舗装されている道も木が生えていたらその形に合わせて舗装していたり、電柱がユーカリの木でできていたり。可愛いなぁって思うんです。

最近では昨年の11月にも訪れました。初めて行った時の思い出があまりにも綺麗すぎたので、それが色褪せてしまうのが少し怖かったのですが、ヌーサは何度行っても美しい街で、改めて最高のパワースポットだなと思いました。



My Rule

HATANOさんが絵を描く上でのルール


「まずは色から決めること」


絵を描くときは、構図ではなく、まず「色」から決めるのがマイルール。

何を描くかを決めるのはそのあとです。「南国テイスト」というのは、自分の中でブレたくないテーマなのですが、同じテーマで長年描いていると、どうしてもモチーフが似たり寄ったりになってきてしまって。なので、色味に変化を付けることによって、雰囲気を変えたり、新しいイメージに見せるようにしています。