絵を変えながら家の空気を動かし、一枚の絵をいろんな角度で何度も遊ぶ #Casieのある暮らし

アートは生活必需品ではないけれど、アートと暮らす人だけが知っている、特別な「発見」や「楽しみ」があるはず。この記事では、「Casieのある暮らし」のさまざまなカタチを紹介します。


今回お話を伺うのは、春に京都へ移住し、新しい生活のスタートとともにCasieでアートのある暮らしを始めた澤正輝さん。澤さんにCasieのオフィスに遊びに来ていただき、お話をしていただきました。


絵を飾って、部屋の空気の流れを変えたかった


春に京都へ引っ越して、荷物を解いて、部屋を作っていく過程で「何か足りないな」と感じたんです。感覚ですが、空気がうまく流れていなくて。風を通してみたり、家具の配置を変えてみたり……いろいろ試してみたのですが何か重たい感じが部屋に残ってしまったんです。


そんな時に、京都移住計画で読んだCasieのことを思い出しました。思い立ってすぐに絵を一枚借りてみることにしました。

以前に絵を買ったこともあるのですが、今は所有の時代じゃないかもしれないなと感じました。購入では手が届かないような絵も、複数人で借りながら順番に楽しめたら、その絵も喜ぶんじゃないかと思います。たくさんの人に見てもらえて、アーティストさんも喜ぶし、そんな世界観の方がこれからの時代にフィットしているような気がします。

僕自身も、定期的に絵が変わって、水のように循環しながら、新しい刺激をくれたら嬉しいなと思うんです。

一枚目の作品は直感ですぐに決めました。今の気分にあっていたんです。直感です。


《スパイラル1》下杉 紗弥加


実際に飾ってみると、絵が部屋の中心になって流れができたように感じました。


絵の向きを変えて楽しむ


Casieで借りた絵は実際に手に取ってみることができるじゃないですか。ザラザラとした質感や、こんな紙を使ってるんだとか、絵の具がちょっと浮き上がっているのがわかるし、とても自由に楽しめるんです。

ある日、Casieのサイトに表示されている向きからひっくり返してみたんです。すると、左下が龍の頭に見えたんです。


澤さんが実際に絵を飾っている様子


この向きが、今は何だか好きなんです。美術館で鑑賞する絵ではなかなかこんな楽しみ方はできないなぁと思います。パートナーは「花火みたいだからこの向きがいい」と言ったりして、「その向きもいいね、花火に見えるよ」と何回も楽しめるところがいいですね。作者の意図も超えていってるんじゃないんでしょうか。


絵の飾られたがっている場所を探す


絵を飾る場所も変えながら楽しんでいます。絵って横に何があるかによって全然雰囲気が変わるんですよね。絵を持って部屋の中を歩き回りながらここがフィットするな、この場所は違うな、ライトを当てると面白いな、と探っています。一枚の絵で何度も遊べるんですよ。

人工的なライティングと自然の日差しでも見え方は違うし、僕自身が元気なのか疲れているかによっても見え方が違うし、バイオリズムが見えてきてちょっとしたセラピーみたいかもしれませんね。



オンラインの時代だから、身体的な心地よさを


僕は今基本的にフルオンラインで仕事をしているんですが、オンラインだけだと物足りなさを感じるんです。頭は使ってるけど心が動きにくかったり、体が宙ぶらりんになってしまう。

アートは、部屋の中で触れていくと、部屋の中で旅をしているような気分になるのです。感覚が呼び覚まされるというか……。サウナや銭湯にも行ったり、そんな体を立ち上げるツールをいくつも持っていたいな、とフルオンラインになって強く思うようになりました。

すごく大事なことだと思っていて、その人が穏やかでご機嫌なら、会話も弾むし、一緒にいて楽しいし、いい時間を過ごせて、世の中もきっとちょっと良くなる。そのための工夫をいつも持っていたいんです。

その一つが、僕にとってアートを飾ることなんです。



実はインタビューの前に澤さんの登壇イベントに遊びにいかせてもらい、これまでの活動や生き方についてお伺いする機会がありました。
その中で澤さんは「余白をつくることで人生が鮮やかになる」とおっしゃっていて、私はそれがとっても印象に残っています。

今回Casieにお越しいただきお話をお伺いする中で、澤さんは「感覚を呼び覚ますための立ち上げツール」をいくつか持つことで、自分で自分の機嫌を取っているということを教えてくれました。
ふとした時にアートが目に入ることで、それまで張りつめていた気持ちや、過度に集中していた作業から心が離れて一呼吸置くことができる瞬間ってあるなあ、と思いながらお話を聞いていたのですが、この文章を書いている今「これがまさに『余白』ってことなんだ」と気づきました。

アートの楽しみ方は自由です。
澤さんがおっしゃっているように、作者の意図を越えて楽しんでいくことによって、アートは「モノ」ではなく感情をもった「友人」のような存在になってくれます。
澤さんは自宅にお迎えしたアートを「友人」としてもてなしながら、「どんなふうに飾ってほしいか教えてね」とコミュニケーションを取りながら楽しんでいらっしゃいます。
「遊び上手」になることがアートの楽しみ方を拡げることのひとつになるということを、澤さんに教えていただきました!
素敵なお話をお聞かせくださり、ありがとうございます。

アートコンシェルジュ みく