アーティストがその作品に込めた想いや制作背景を知ることで、アートを一層深く知り、作品に向き合うことができるかもしれません。
今回は松浦 麻美子さんの作品を一緒に読み解いてみましょう。
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松浦 麻美子
火地風水のうち1つのエレメント、あるいは複数組み合わせたものを表現すること、縄文文様、茶道、焼き物などにみられる日本的な美しさや感性をテーマに制作を行う。人々が集まる「アートの山」として、山全体をアート・芸術活動を行う、あるいはパフォーマンスする場にし、より心豊かで、アートがもっと日常になるような空間を作っていくことが目標と語る。
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to the woods
W470×H563[mm]
ミクストメディア
https://casie.jp/artlist/RB00599
▼アーティストより
2020年秋制作。この頃は海綿スポンジにたっぷりと絵の具を浸み込ませて描くことにチャレンジしていた時期です。絵の大部分に海綿スポンジを使い、筆も一部使って描いています。絵の場面は森の中をハイキングしようと、森の入り口に向かっているところです。森の奥にある目的地(滝や渓谷をもとめて)に向かうワクワク感と期待、歩きながら出会う植物や虫たちにふれる楽しみなどを思い浮かべながら描きました。また、森の中のひんやりとした空気が表現できるよう心掛けました。
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composition(garden)
W435×H527[mm]
ミクストメディア
https://casie.jp/artlist/RB02514
▼アーティストより
新芽がつぎつぎと開くころ、河川敷を散歩している時に得たインスピレーションを元に描いています。足元からずっと遠くまで広がりゆく大地とそこに咲く草花と私自身との一体感を得たような感覚を心象風景として描いています。そして、その心象風景に、お庭や草原で遊んでいた幼い頃の記憶も織り交ぜています。また、実際に描いている時は、摘んだばかりの河川敷の草花を花瓶に活け、色選びの参考にしています。タイトルの「garden」は、幼い頃に親しんだ草花がいつも自分の心のどこかで愛おしさをもたらしてくれる身近なものであることを表す言葉として選びました。また、「garden」はgardenを作る人、楽しむ人の世界観を表現できる空間でもあることから、絵を見てくださる方それぞれの大切な思いや大事な何かを思い出し、心豊かなひとときを過ごしたり、さらには未来につながる何かのきっかけとなれることを願い、選んだ言葉でもあります。
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Sparkling
W435×H524[mm]
ミクストメディア
https://casie.jp/artlist/RB00364
▼アーティストより
2020年夏に画家になろうとチャレンジし、その数か月後に描いた絵です。この頃はこれまでの生き方の一部を終わりにして新しいことを始めることにより、心身ともに心地良く穏やかな風にあたっているような感覚で過ごしていました。これはきっと、挑戦することの怖さとワクワク感はもちろんのこと、絵を描くことを日常とすることを選んだ私自身と向き合う「時」のありがたさと大切さに満ちているからだと思っています。「終わりは始まりでもある」ということを体感できた時期に描いたこの絵は、真の私へと一歩踏み込んだ生きる喜びを表し、さらにはエールを贈るような、私にとってのモニュメントとなりました。タイトル「Sparkling」は、仕上がった直後に、ひらめいた言葉です。
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grass field and sky
W455×H545[mm]
ミクストメディア
https://casie.jp/artlist/RB03239
▼アーティストより
朝からザーザー雨の休日。雨の中、電車に乗ったり歩いたりとお出かけし、あっという間に夕方になり、そろそろ帰ろうと電車に乗りました。しばらくして鉄橋にさしかかり、何気なく窓へ目を向けると、雨は止み雲の合間からは青空がのぞいていました。その空の下には大きな川と芝生広場がありました。この絵は、その時に浮かんだ心象風景画です。私にとって、芝生広場は原風景のひとつであり、私が創造する時に軸となる空間の捉え方を培ってくれました。芝生広場という空間は、どこまでも続くかのようなフラットな緑と、その上に並行して広がる大空で構成されていると捉えています。そのような空間は、情景やストーリーがその時々の想いと相まって、創造性を刺激してくれます。電車が鉄橋を渡るその時はわずかでありながらも、永遠性を帯びたような感覚になり、その感覚を楽しみながら、大切にしながら、描いています。
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My origin
W454×H546×D19[mm]
ミクストメディア
https://casie.jp/artlist/RB06219
▼アーティストより
2023年新春。清らかな冬空の下、芝生広場を散歩している時に得たインスピレーションを元に描いています。広場には思い思いに過ごす人たちが大勢おり、私はお散歩しながら、人々がどのように過ごしているかを観察しつつも、幼い頃からの独自のモノを見る時の感覚や空間把握に浸っていました。私にとって、幼い頃から芝生広場や田畑が身近でした。田畑や芝生広場に立っていると、足元からどこまでも続くようなフラットな大地にいるような感覚になりました。さらに、大地とその上に広がる大空との間に、ポツンといる私という存在が不思議な感じがしていました。そんな私には、フラットな感覚(モノを平面的に捉える感覚)と、空間を「大地、私がいる空間、大空」という層の積み重ねのように捉える感覚が身に付きました。この絵では、このような私の感覚を元に、広場で過ごす人々の新春を迎えられた喜びや日々の楽しみを表現しています。
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