アートは生活必需品ではないけれど、アートと暮らす人だけが知っている、特別な「発見」や「楽しみ」があるはず。この記事では、「Casieのある暮らし」のさまざまなカタチを紹介します。
今回は、山内祐未さん。大阪で、公文の教室を運営する彼女。3歳〜中学生まで、幅広い世代の子どもたちが通う学習塾に、アートを飾り始めて、約2年半が経ちました。山内祐未さんとCasie。学習塾にアートを飾る理由、子どもたちのために選ぶアートとは?
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学習塾の教室に「アート」を
元々は教育出版系の企業で、会社員をしていました。その後、退職をして「公文式教室」のフランチャイズオーナーに。
オーナーなので、教室のレイアウトやお金の使い方なども、誰かに決裁をとることなく自由に決めることができます。
最初の頃は、なるべく何も飾らずシンプルな教室を心がけていましたが、教室を始めて2年くらい経った時「もっと良い教室にしたい」と思い、素敵な先輩の教室を見て回るようになりました。
すると、素敵な教室に共通して飾られていたのは「お花」。
四季も感じられるし、パワーもあるしいいな。と思う反面、水やりの手間などを考えると、ちょっと……。当時は掃除で手一杯で、管理する自信がありませんでした。
そんな時、夕方のニュース番組で偶然知ったのが「Casie」。
アートなら、水がえなどのお世話も必要ないし、四季やパワーも感じられる。しかも交換すれば、色々なアートを子どもたちに観てもらえる。
「これは私の教室にぴったり!」とひらめいて、すぐに初めてのアートを注文しました。
初アートは、子どもたちから質問が殺到!
I'm here / NAO
初めてのアートは、おまかせでオーダー。届いたアートは、インパクトのある「バク」の絵でした。さっそく、学習時には目に入りにくい教室の後ろに飾ってみると、想像以上にお部屋の印象が変わって、原画のパワーにびっくり。
絵を見つけた子どもたちからは、早速「あれは何の動物?」「バク?図鑑にのってるかな?」「先生が描いたの?」「あの絵はどうしたの?」と、質問が殺到(笑)。
3歳〜中学生まで、幅広い年代の子どもが通っているので、それぞれ違う視点でコメントをくれるのが面白かったです。
飾る前には「イタズラや落書きをされたらどうしよう」なんて不安もあったのですが、実際に飾ってみると、そんな生徒は1人もいなくて一安心。原画ということもあり、自然と触ってはいけない大切なものだと認識してくれているのかもしれないですね。
とはいえ、万が一のことを考えて、キャンバス作品の場合は少し高めの位置に飾るなどして、注意をしなくていい工夫はしています(笑)。
「あの子の好きそうなアート」を選ぶのがマイルール
ホオズキ【ヒカリ】 / NIM
何度かおまかせでオーダーをしたあとは、徐々に自分でアートを選ぶようになっていきました。
「教室」に飾るアートなので、選ぶ時に考えるのは、もちろん「子どもたち」のこと。
と言っても、子どもっぽいものばかりを選ぶという意味ではなく、あえて色々なジャンルのアートを選ぶようにしています。
なぜなら、自分自身も、子どもの時にピカソやマティスの絵を観て「すごいな」と思った記憶があるから。色々な絵を飾る方が、子どもにとって刺激になると思うんです。
でも自分で選ぶと、ついつい私好みのアートばかりになってしまうので(笑)、最近は、毎回1人の生徒を頭に浮かべて「あの子が喜びそうな絵」を選ぶのが、隠れたマイルール。
そうすると、色々な年代・性別・性格の子が好むアートを選べる気がしています。
アートは、子どもを知る材料にもなる
バイレットサファイアの城 / 青山 瑩
かれこれ何度も交換を経験していますが、毎回新しいアートを飾った後は、子どもたちの反応を見るのがすごく楽しみ。
今飾っている「バイレットサファイアの城」は、特にプリンセス好きな小さい女の子から大人気で、じーっと眺めている後ろ姿をよく見かけます。
航宙図 / 鈴木 咲穂
予想通りの反応もあれば、意外な反応も。「航宙図」を飾っていた時に、年中さんの女の子が「これ好き」と言ってくれたのは、かなり驚きでした。
私たち「先生」って、“教える仕事”と思われがちなのですが、どちらかと言うと“コーチング”の要素が強い仕事だと思うんです。
だから、どんな風に声をかけたら伸びていくか、を考えることが重要で。子どもを知る材料は、出来るだけいっぱいあった方が良いと思っています。
アートって、ノンバーバルじゃないですか。でも「これが好き」という明確さもあるので、子どものことを知る上で、すごく役に立っていますね。
初めに考えていたメリットとは、また違う「新しいメリット」を発見できたことも、Casieを継続している1つの理由かもしれないです。
子どもたちからのリクエストも
アートを交換しながら飾っていく中で気づいたのは、子どもたちが思っている以上にアートをよく観ているということ。
時には、子どもの方から、作品のリクエストをもらうこともあります。たとえば「キリンの絵が好きだったから、もう1回飾ってほしい」というリクエスト。
ジラフ星降るワンダー☆」川瀬 大樹
叶えてあげたいところだけど、もう一度同じ絵を借りるのはなぁ(笑)と思い、同じ作家さんの別の絵(クジラの上にキリンが乗っている絵)を、借りて飾ってみました。
ホエールバスワンダー☆ / 川瀬 大樹
届すると、リクエストをくれた子がすぐに気づいて「こないだのキリンと、同じ人の絵?」と話しかけに来てくれたんです。
他にも同じ作家さんが描いたことを気づいて話しかけてくれる子がいたりして。本当に細かい部分まで観ているんだなぁと関心しました。
日々のそういった些細なやり取りや発見が、私の仕事にとっては、すごくプラスになっています。
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“自分の人生を豊かにできる人になって欲しい”。
これは、私が子どもたちと関わる上で、ずっと大切にしている想いです。
学力ももちろんですが、アートのような「文化」を楽しめる人であることも、人生を豊かにする1つのスパイス。
これからも教室にアートを飾ることで、そのお手伝いが少しでもできればいいなと思っています。
素敵な「アートのある暮らし」を教えてくださりありがとうございます!
山内祐未さん、ご協力ありがとうございました!