サン・ポールの風景

神奈川県出身、埼玉県在住のアーティスト
水彩画教室の作品展や、社団法人ディレクト・フォース美術同好会作品展に多数出展している。

- 絵を描くようになったきっかけは?
実家が印刷業のため、いつも白い紙が自由に使え、小学生の時に電車や船を毎日のように描いていました。
また、近所に画家夫妻が住んでいて小学校３年から６年まで毎土曜日に絵を描きに行っていました。クレパスで描いて画家奥さんの手が入ると見違えるような絵になり、絵を描く素晴らしさと楽しさを知りました。その時の絵はまだ手元にあります。
それから５０数年後、会社をリタイアし、海外出張で行ったフランスの田舎の美しさが忘れられず、毎年個人旅行でフランス、イタリア等を旅するようになりました。行く先々の風景をスケッチし写真に撮り、それらを基に帰国後水彩画を描くようになりました。

- 作品のテーマにしている事は?
”Art de Vivre”　　
10年前にフランスを旅していた時に立ち寄った小さなギャラリーのご主人が教えてくれたフランス語。その意味をフランス語と英語で説明してくれたがよく分からず、帰国後フランス観光局に教えていただいた。
私は「自分らしいアートな生き方、暮らし方。日々の暮らしの中に小さな喜びをクリエイトするアートな感性」と理解し、自分が描いている水彩画もこの言葉を具現化する感性を大切にしている。

- これからどのような創作活動をしていきたいですか?
Art de Vivreの実践。
フランスとイタリアに、絵を描くだけの目的で旅したい。

この不思議な村に行きたくて南フランスまで来た。サン・ポール・ド・ヴァンスは地中海を望む丘の上に高い城壁で囲まれている。この村にピカソやデュフィ、モジリアーノなど著名な画家が滞在し、20年間定住したシャガールの墓もここにある。画家だけでなくスコット・フィッツジェラルドはここで華麗な社交生活を楽しむ人々の小説を書いている。この村はなぜ芸術家が集うのか、彼らの足跡を求めて迷路のような道を散策した。確かにアートな雰囲気に包まれているが,"なぜ彼らがここへ？"の疑問は解けぬまま外周の城壁の上に出た。瞬間、目が眩むような陽光、石造りの建物が真っ白に見える。その先には深紅の花が空に飛翔していくように咲いている。そうか多くのアーティストもこの強烈な光に魅せられてこの村に来たのだろう。今私は彼らが見たと同じ風景を見ている。少しでも彼らと同じ感覚を持ちたくてここに佇み、そしてこの絵を描いた。