島々美しゃ1 （しまじまかいしゃ）

「ノーテーマ」であることがテーマ

兵庫県出身、沖縄県在住のアーティスト。武蔵野美術学園油画科修了。千葉大学工学部デザイン工学科卒業。明石工業高等専門学校機械工学科卒業。

- 絵を描くようになったきっかけは?
自分の場合、何歳の、どの出来事というような特別なきっかけはないですが、中学生ぐらいの頃から「モノづくり」を仕事にしたい、それも自分の思いやこだわりを活かして...という希望は、なんとなくありました。

- 作品のテーマにしている事は?
重層的、唯一性、など絵画が持っている物理的な特性を最大限に活用すること。イデオロギー、言語、政治、社会状況に直結したり、他の表現ジャンルを説明するような作品は作りたくないと思っています。そういう意味では「ノーテーマ」で、「ただの絵画であること」が、自分のテーマ。絵画でしかできないことを、自分のやり方で探究していくことを意識しています。

- これからどのような創作活動をしていきたいですか?
シンプルに素直に「絵画を作り続ける生き方」を、これからの人生を賭けて全うしたいです。そして、その生き方が、そばにいる家族、他者から搾取せず、共感してもらえるものにして生きたいです。

本作は、福岡市内の猫本専門店「書肆 吾輩堂（しょし わがはいどう）」で開催した個展「猫路地にて　Nekology at Nekoroji」（2020年11月21日〜12月13日）に出品した作品群の一つでした。
（展覧会情報URL)
https://wagahaido.com/archives/1971

展覧会後も同店が常設作品として大切に預かってくれていたのですが、より幅広いユーザーに触れてもらおうということでお店も快諾して下さり、2024年初夏に作者に返却後、Casieさんへ旅立ちました。

猫という大変魅力的なモチーフは、絵画やイラスト等で多くの作家さんが取り組んでいます。
私藤本にとっては、具象的な作品制作における、モチーフ選択肢の一つとして位置付けています。

猫の美しさ、カワイさそのものは実物が一番ですので、それを表現するのではなく、あくまで人間が抱える感情や想いとかを表現するメタファーとして、風景の中に佇む存在として、フォルムを使わせてもらっているという感じです。

猫をメインモチーフにした作品のタイトルは音楽の曲名から頂くことが多いです。

ある曲そのものがモチベーションになったり、制作を進めながら画面に合うタイトル曲がひらめいたりして付けています。
（もちろん音楽そのものは頂けませんし、曲の説明として自分の絵があるわけでもありません。）

というような流れで、本作のタイトルは沖縄民謡から。「芭蕉布」など数々の名曲で知られる大作曲家の方が、戦後に作った曲です。

作者藤本は1997年より沖縄県那覇市に移住しました。県内八重山諸島の竹富島を旅行した際に、島で逞しくのんびりと生きる猫たちにも出会いました。その時の光景を思い出しながら制作したのが本作です。

制作手法は、他の藤本作品同様です。アクリル絵具の積層と研削による発色とマチエールは一貫しています。