F6-2021-BLUE-01

「感情の印象」をテーマに描く

京都府出身、大阪府在住のアーティスト。近畿大学文芸学部芸術学科造形芸術専攻ガラス造形ゼミ卒業。

- 絵を描くようになったきっかけは?
幼少期から絵を描くのが好きで、小学校、中学に入っても絵画教室に通い、高校では画塾に通い、大学は芸術学科を専攻しました。

- 作品のテーマにしている事は?
基本テーマは「感情の印象」にあたります。

- これからどのような創作活動をしていきたいですか?
生活費と絵具代に困らない画家になれたなら、アトリエに入りきらないような大きな画面に絵を描きたいです。今まで描いた中で一番大きいのは1620mm×3909mmですが、描きたいことがたくさん描けて本当に楽しかったので。もっと夢を言うなら、ガラス工房を手に入れてステンドグラスを沢山作って、そんなに金持ちになってたら建てるだろう、吉田絵美美術館の窓全部に嵌めたいです。夢は言うだけタダなので幸せですね!

人生はじめての東京でのデパート展示に向けて、「デパートに来る人のお家の壁」を強く意識して制作した作品のひとつです。それまで私は、公共施設などで「展示する」ことだけを目標に制作していたので、デパート展示は制作傾向のターニングポイントのひとつになりました。それまでは公募に向けて制作するのが中心で、とにかく目立って選ばれること、が重要だったのですが、デパートは完全な商業施設。販売不可の美術館と同じことをする必要はありません。家に飾って心地良い色、デパートらしい品格とは、と思いながら、それまでの作品より、絵に残す内容をより引き算するようになりました。今の私もまだまだ引き算は要勉強ではありますが、この作品はやっと、画面の心地よい広さ、を掴み始めた一枚のように思います。結局、人生初のデパート展示はコロナ禍により、来場者が両手に足る人数しかなく、会期もロックダウンで短縮。この一枚はあまり人の目に触れる機会もなく、アトリエで眠らせてしまった作品となります。夢を掛けて描いた一枚です。お部屋を明るくしたい方は、是非。

言葉にする前の、どんな言葉を当てはめていいのかわからない心の印象を描いています。私の頭の中は、数年前に精神疾患を患って以降誤作動が多く、言語化すると、どんなにステキだったり嬉しかったりすることでも、そこにある熱量に圧倒されてすぐに「怖い」と誤認してばかりいます。怖い、と感じることを誤認だと判じることはできるのに、何もかもを怖いと思ってしまう自分を、丸ごと棚上げしたくて、描き始めたのがこの絵になります。描いてみれば、私の「怖い」は良く分からないけれどキラキラピカピカと光輝き、この中のどこに恐怖があったのかわからない絵ばかりが仕上がりました。わからない気持ちをわからないまま受け入れる、そんな体験を共有していただければ幸いです。