精緻を極めた織の芸術。新たな価値観を後世に伝える。
- 「あさぎ」が伝えたい想い
小幅65cm×長さ4.5mという壮大なスケール。それを生かした、繰り返しのない全通全景の絵柄。伝統的な「丸帯」にこだわり続けてきたことが、西陣織美術工芸あさぎの原点といえます。袋帯にくらべて2倍の幅をもつ丸帯は、いまでも第一礼装の帯として最高の格式を誇るものの、重厚であるため結びにくいことから生産量は減少。現在ではほとんど見る機会がなくなっています。しかしながら、仕立てると裏表なく結べることから「裏表のないおつき合い」を。そして長い帯は「長いおつき合い」を意味するため、婚礼の際には親が花嫁にもたせる帯とさ...
精緻を極めた織の芸術。新たな価値観を後世に伝える。
- 「あさぎ」が伝えたい想い
小幅65cm×長さ4.5mという壮大なスケール。それを生かした、繰り返しのない全通全景の絵柄。伝統的な「丸帯」にこだわり続けてきたことが、西陣織美術工芸あさぎの原点といえます。袋帯にくらべて2倍の幅をもつ丸帯は、いまでも第一礼装の帯として最高の格式を誇るものの、重厚であるため結びにくいことから生産量は減少。現在ではほとんど見る機会がなくなっています。しかしながら、仕立てると裏表なく結べることから「裏表のないおつき合い」を。そして長い帯は「長いおつき合い」を意味するため、婚礼の際には親が花嫁にもたせる帯とされてきました。親が子を思う心、日本の美意識を受けついできた「西陣織丸帯」。そんな伝統文化を大切にしたいと、軽くてやわらかく結びやすい帯として甦らせたのが、西陣織美術工芸あさぎです。それとともに、屏風や掛軸、タペストリーなど美術工芸品として織りあげることで、西陣織丸帯を 「身にまとう」だけでなく「アートとして眺める」という、西陣織の新たな美の価値観をつくりだすことができました。西陣織あさぎ美術館の活動をとおして、日本最古の伝統工芸である西陣織を後世に遺していくことが、あさぎの願いです。
-西陣織美術工芸あさぎの技術 「1800 口織」とは...
経糸と緯糸が交差する点が袋帯巾(約30cm)に対して400であれば400口、900であれば900口、1800であれば1800口といいます。交差する点を1mm四方の方眼紙で表したのが紋図(織物の設計図)となります。西陣の一般的な織物は400口、600口、900口織ジャガードで製織されており、紋図の横1列のマス目が多いほど細かく織る事ができます。染色技法の友禅や更紗など着物では繊細な表現が可能ですが、織物は組織上、曲線が表現しにくく繊細な表現が不可能と言われていました。しかし、近年の織技術の発展により一般的な西陣織の4~9倍の繊細さを誇る1800口織ジャガード織機を駆使することで、絵に描いたような立体的な表現が可能となりました。