アート作品を選ぶ際に重要な素材感や絵の具の質感など。
たくさんの作品が並ぶCasieの作品一覧の中からその視点で選ぶことはかなり難易度が高いですよね。
この記事ではサイトの写真だけではお伝えしきれない魅力を持った作品を、実際に作品と触れる機会のあるスタッフの目線からご紹介します。
ぜひ、作品選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
静物|Aya Kitamura
H26.3cm × W32.4cm 色鉛筆
色鉛筆独自の柔らかさやあたたかい雰囲気と洗練された線の調和が魅力的な作品。
「静物」というタイトルながら、枠にとらわれない抽象化されたモチーフたちは空間を自由で心地よいものへと彩ってくれます。寄って見てみると細やかな色の移ろいを感じられ、たくさんの色が使用されていることが分かります。
Under the cloud|meo
H33.5cm × W33.5cm アクリル絵の具/ジェルメディウム
ジェルメディウムというアクリル絵の具の盛り上げ剤を使用した、モコモコとした雲のマチエールと大胆な構図、それと対比するような大人っぽい写実的な人物描写のギャップが面白い作品です。フラットな作品では感じることのできない「創作感」を楽しむことができます。
マチエール
材料。材質。特に美術では、さまざまな素材や、その種々の使用法によって作り出された画面の肌および、その材質感のこともいう。
引用:コトバンク
夕焼け~Il tramonto~|L'aquamarmo(らっくあまるも)
H40cm × W40cm アクリル絵の具
こちらの作品はマーブリングという手法によって制作されています。作者であるアーティストのL'aquamarmo(らっくあまるも)はイタリアのフィレンツェにて伝統工芸であるマーブリングを学び、帰国後、東京を中心に自身のマーブル紙を活かしたアート作品を制作しています。何色とも言い難い独特な色使いが特徴的。藤の花が咲き乱れる様子を表現しています。
マーブリング
マーブリングは、ゴム樹脂の水溶液に、水分に反発する描画材を落とすことで、水面上に描かれる複雑な模様や図柄を、紙などの支持体に写し取る技法です。
引用:武蔵野美術大学 造形ファイル
きんぎょ 2019-1|TANAKA Naoki
H66cm×W66cm ジグソーパズル/アクリル絵具
2025ピースものジグソーパズルを使用し制作された作品。シンプルでありながらもどこか重厚感を感じさせる、非常に洗練されたビジュアルと言えるでしょう。こちらのシリーズで鍵となっているのは"既成概念の分解"です。作者は固定した基準を曖昧にさせるための装置として当シリーズを提示しています。例えば、鑑賞者が作品と対峙する距離によって具象から抽象へ、抽象から具象へモチーフが変化するような仕掛けが施されていたり…。コンセプチュアルかつ遊び心も感じられる、ぜひ実際に観て感じていただきたいスタッフイチオシの作品です。
霧中の針穴 ホワイト&エメラルドグリーン|垣野内 紀之
H40cm × W40cm アクリル絵の具/胡粉/キャンバス
こちらは先が見えない社会情勢の中、未来を切り開こうと試みる人々を"針穴を開け続けていく"という行為によって比喩的に表した「霧中の針穴」シリーズの1作品となります。
作者が影響を受けたアーティストの一人にルーチョ・フォンタナという人物がいるのですが、垣野内さんの作品も同様に革新的で社会に一石を投じるような、1歩立ち止まって鑑賞したくなる魅力があります。描き手のルーツを知るのもアートを楽しむ一つのエッセンスとなりますね。
ルーチョ・フォンタナ
1899年イタリア人画家・彫刻家。既存の絵画や彫刻を超えて新時代に見合う芸術が必要であることを説く。代表作の「空間概念」シリーズは、空間とは何かを考察し、キャンバスに穴を開け、ナイフで切り裂き、時に小石やガラスといった伝統的な絵画では画材とならないものを使用。作家の行為の痕跡を見せるとともにキャンバスの奥行きに迫り、絵画の二次元性に縛られない、より開かれた表現を追求する。66年にヴェネチア・ビエンナーレ絵画部門で大賞を受賞。フォンタナの試みはイタリアの「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」をはじめ、戦後美術に大きな影響を与えている。68年没。
引用:美術手帖
今回は5名のアーティストの作品をご紹介しました。
まだまだ素敵な作品がございますので、次回の特集もお楽しみに。