おしえて制作のヒミツ | 「誰のどんな空間にも飾ることのできるアート」を描くerikaintheislandさん

アートは見た目だけではなく、アーティストによって込められた想いや自分の想いを表現するために使用している技法など様々な角度から見る楽しさがあります。この記事では、さまざまな作品の姿を紹介します。


今回は誰のどんな空間にも飾ることのできるアートを描くerikaintheislandさんの作品の姿に迫ります!


erikaintheislandさん自らが手掛けるZINE(ジン)の中の一つに「ある人」が主人公の物語があります。今回紹介する5作品はそんな「ある人」が主人公の物語を「絵」にした作品になっております。


「私の作品を見た時に作品を飾っている空間から作品と空間の一体感を感じて頂けたら嬉しです」と話すerikaintheislandさんの作品には一体どんな背景があるのでしょうか?


↑ZINE(写真提供:erikaintheislandさん)


erikaintheisland
愛知県出身、神奈川県在住のアーティスト
幼少期の頃から絵を描くことが好きだったerikaintheislandさんは自身の日記や記録をイラストにしたり、好きなことやもの、頭の中に描いた世界をイラストに描いています。
erikaintheislandさんは今後の自身の創作活動について「観た人の印象に残るような作品を描けるアーティストになって、多くの人の記憶に残る絵本を作り出したいです」と話しています。


《落ち着く場所》


↑《落ち着く場所》


erikaintheislandさんの様々な作品に出てくる「ある人」。そんな「ある人」が落ち着いた時間を過ごすことのできる大好きな空間を描いた《落ち着く場所》。


erikaintheislandさん自らが手掛けるZINE(ジン)の中の一つに「ある人」を主人公とした物語があります。《落ち着く場所》はerikaintheislandさん自身が思い描く「私もこんなところに住んでみたい。こんな空間で自分の時間を過ごしてみたい」といった理想の生活から生まれた作品です。


《落ち着く場所》では「ソファに座りながらゆっくりとコーヒーを飲みながら本を楽しむ素敵な時間」が描かれています。


誰のどの空間にも馴染む温かい絵


「誰のどの部屋に飾っていても馴染む作品」を心がけて作品を制作しているerikaintheislandさんは「この作品を見た時に作品を飾っている空間から作品と空間の一体感を感じて頂けたら嬉しいです」と話しています。


そんなerikaintheislandさんは誰のどの部屋にも馴染む作品を作りたいと思う理由について次のように話しています。


「絵って奇抜だったり、カラフルだったり、作家の方々の色々な想いが込められているものがたくさんあると思います。私は少しでも多くの方に気軽に絵を手にとってもらいたいと思っていて、そのためにもどんな人のどんな空間に置いても違和感のない作品を作りたいと思っています。これは私自身がそんな絵だったら家に飾りたいなと思うところからきているんだと思います」


貼り絵 × 糸の刺繍


erikaintheislandさんは誰のどんな空間にも馴染む作品にするために、手作り感や温かみを感じる作品にすることを大切にしています。


《落ち着く場所》では、貼り絵の紙に糸の刺繍を組み込むことで、より人の手で描かれた原画ならではの温かみを表現しています。


布を使用して描く貼り絵を制作したいと考えていたerikaintheislandさんは、布製のトートバックをモチーフとした絵を実際の布を使用して描くことに挑戦していました。しかし、中々上手くいきませんでした。そんな時に「布ではなく糸を使用して描く貼り絵も面白いのかもしれない」と思い、貼り絵 × 糸の表現方法が生まれました。


《落ち着く場所》部分


仕上げとして貼り絵の紙に色鉛筆を使用して点々模様を描くことで作品の立体感を表現しています。


↑《落ち着く場所》部分


貼り絵ならでは新しい発見


erikaintheislandさんは「写真で見ると水彩画などのように色を塗って描いているのか、あるいは貼り絵なのか中々区別がつかないかと思います。紙を切り貼りしている貼り絵だからこそ生まれる作品の立体感を感じてもらえたら嬉しいです」と話しています。


実際に自分の目で作品を飾ってみることでerikaintheislandさんの貼り絵だからこそ使われている糸の表現方法など新しい発見をしてみてはいかがでしょうか。





《青のお花》


↑《青のお花》


erikaintheislandさんの様々な作品に出てくる「ある人」。そんな「ある人」はお花が好きで、ある日偶然通ったお花屋さんで見つけた青いお花の美しさに魅了され、家に持ち帰って飾ったストーリーが描かれた《青のお花》。


《青のお花》は、erikaintheislandさんが立ち寄ったお花屋さんで青いお花を見つけ、その美しさから家に持ち帰って飾った実体験をもとに描かれた作品です。


一味違う新しい絵の楽しみ方


erikaintheislandさんは「銀色の額縁の中に青いお花を描いたこの作品は、色合いからどこか冷たい印象を受ける作品になっているかもしれません。ですが、作品の中に描いた青いお花は実際にあるお花をモチーフに描いたものになります。是非自分の目でどの種類のお花がこの作品のモチーフになっているのか探してみるといった楽しみ方をして頂けると嬉しいです」とこの作品に込められた想いについて話しています。


試行錯誤の中で見つけた構成


一つに額縁といっても様々な額縁があります。《青のお花》では銀色の額縁が使用されています。「銀色の額縁に青色のお花は少し暗い印象を受けてしまうかもしれません」と話すerikaintheislandさんは試行錯誤を繰り返しながらマーブル色の紙をerikaintheislandさん自ら制作し、作品の中に背景として組み込むことで、作品から受ける印象に工夫を施しています。


↑《青のお花》部分


使われている身近な表現方法


erikaintheislandさんが作品で使用している様々な色の貼り絵の紙は日頃から制作をする中でストックしているそうです。貼り絵といったスタイルで作品を制作するerikaintheislandさんにとって様々な色の紙のストックは絵の具のパレットなのです。


↑普段使用している様々な色の紙(写真提供:erikaintheislandさん)


《青のお花》でも美しい青色の花が綺麗に描かれています。《青のお花》の中に描かれている青色の花びらは、まず最初にお花の蕾のみを貼り絵の紙で作って貼っています。その後、私たちの多くが小学生や中学生の頃に体験した紙を半分に折ってから切る技法を用いて左右対称なお花のヒダを作って貼っています。


↑《青のお花》部分


アートから生まれる新しい冒険


《青のお花》ではお花のヒダが忠実に再現されています。erikaintheislandさんは「《青のお花》はお花をモチーフに描いた作品なので、廊下や玄関といったお客様を迎える場所に飾って楽しんで頂けたら嬉しいです」と話しています。


《青のお花》は実際に存在する青色のお花をモチーフに制作されているので、お花屋さんなどで青色のお花を探して「このお花がモチーフとなっていたりするのかな」と自分の中で色々な想像を膨らませて自分の中にあるアートの世界を広げて楽しんでみてはいかがでしょうか。




《編み物》


↑《編み物》


erikaintheislandさんの様々な作品に出てくる「ある人」。そんな「ある人」を描いた《編み物》。


《編み物》は、物語の主人公である「ある人」がクリスマスに向けた準備として赤い靴下を編んでいる様子を描いた作品です。「ある人」が編んでいる赤い靴下も一つの作品として描かれています。


↑《赤い靴下》


作品を通して感じる季節の移り変わり


erikaintheislandさんは「クリスマスに向けた準備をテーマに描いた作品なので、秋から冬へと近づき始める季節の移り変わりをこの作品を通して感じ得てもらえたら嬉しいです。リビングや編み物が好きな人は自分の趣味の部屋などに飾って楽しんで頂けたらと思います」と作品に込められた想いについて話しています。


糸を用いて表現するモノの温かみ


貼り絵のスタイルで数多くの作品を描くerikaintheislandさんですが、様々な物語やモノの表現方法は作品を制作する過程の中でerikaintheislandさんが自ら生み出したものです。


《編み物》では「ある人」がクリスマスに向けて編む靴下を貼り絵と糸を組み合わせて、あえて糸を固定せずに垂らしておくことで、より立体的かつ温かみのある編み物を表現しています。


↑《編み物》部分


私たちにも身近な表現方法


《編み物》の中に描かれている赤い靴下を編む「ある人」の両腕には綺麗な左右対称の模様が描かれています。左右対称ね模様にすることで、冬への準備を始める「ある人」が着ているセーターをよりリアルに表現しています。


貼り絵の中で左右対称な模様を描く表現方法には、私たちが小学生や中学生の時に習ったことのある紙を半分に折ってから模様を切り抜く技法が用いられています。


↑《編み物》部分


人それぞれの価値観で広がる絵


《編み物》で描かれている「ある人」では顔の輪郭が描かれていないことがわかるかと思います。erikaintheislandさんは「顔の輪郭はあえて描いていないので、見る人によっては人に見えないこともあるかもしれませんが、それはそれで良くて、色々な見え方をするのがアートだと思っています」と話しています。《編み物》の中に描かれている「ある人」をあなた自身ならではの「ある人」として想像しながら鑑賞するのも楽しみ方の一つです。


また、erikaintheislandさんの作品では、気質のある硬くしっかりとした画用紙を作品のベースとして使用しています。そのため、貼り絵の紙に糸の刺繍を施して作品を描くことが難しい表現方法でもあります。そんな誰のどの空間にも飾ることのできる作品を軸に温かみのある作品を描くerikaintheislandさんならではの技法を是非実際に見てみてはいかがでしょうか。




《コーヒータイム2》


↑《コーヒータイム2》


erikaintheislandさんの様々な作品に出てくる「ある人」。そんな「ある人」はコーヒーが大好きで、コーヒー豆をグラインドするところからコーヒーをドリップし、注ぐまでのこだわりのある自分時間を描いた《コーヒータイム2》。


《コーヒータイム2》ではコーヒーが好きなerikaintheislandさんが思い描く理想のコーヒータイムが表現されています。


より充実したコーヒーライフを


erikaintheislandさんは「コーヒーが好きな方々の部屋やお店に飾って頂けたら嬉しいですし、この作品を通してその人ならではのコーヒータイムをより楽しい時間にして頂けたらと思います」とこの作品に込められた想いについて話しています。


貼り絵で表現するモノの影と質感


アクリル絵や油絵などの絵を描く際には色のグラデーションやコントラストといった色の濃淡を利用して影を描き、モノの質感や立体感などを表現しています。erikaintheislandさんの貼り絵では絵の具ではなく、貼り絵で用いる紙の色の濃淡を利用してモノの質感や立体感を表現しています。《コーヒータイム2》では、紙の色の濃淡によって作品の中央に描かれているグラインダーならではの質感や立体感が表現されています。


↑《コーヒータイム2》部分


テーブルクロスから表現する私たちの身近な暮らし


《コーヒータイム2》では背景として作品の周りにerikaintheislandさんご自身で作成した布を使用しています。コーヒーを飲んだり、食事をする際に使用するテーブルクロスを作品の背景として布を用いて表現することで、人々のより身近な暮らしを描いています。


↑《コーヒータイム2》部分


アートと共に実現する至福のひととき


《コーヒータイム2》はコーヒー豆をグライドし、丁寧にドリップしてからコーヒーを注ぐまでの一連の工程が描かれており、テーブルクロスをイメージした布を作品の背景として用いることで、《コーヒータイム2》の一つの作品から「コーヒーが好きな自分が過ごす至福の時間」を感じることができます。


《コーヒータイム2》に描かれている想いやストーリーと重なる《コーヒーカップ》や《落ち着く場所》と一緒に飾って楽しむのも《コーヒータイム2》のもう一つの楽しみ方です。


↑上:《コーヒーカップ》、下:《コーヒータイム2》


erikaintheislandさんは「コーヒーカウンターや食卓テーブルのそばに自分の生活の一部分のような存在として飾って楽しんで頂けたら嬉しいです」と話しています。この作品を通してより楽しいコーヒーライフを実現してみてはいかがでしょうか。



《おかえり》


↑《おかえり》


erikaintheislandさんの様々な作品に出てくる「ある人」。そんな「ある人」が家に帰るとネコが玄関で自分を出迎えてくれる様子を描いた《おかえり》。


erikaintheislandさんが描く「ある人」が主人公の物語は2つある中で、1つ目の物語の中にも同様のネコが登場する作品として《ある人のネコ》があります。《ある人のネコ》では「ある人」に焦点を当てて作品が描かれていますが、2つ目の物語の中の作品である《おかえり》ではネコに焦点を当てて作品が描かれています。


↑《ある人のネコ》


《おかえり》ではerikaintheislandさんが思い描く「ネコがいたらきっとこんな感じなのかな」といった想像の世界が描かれています。


アートを通して感じるネコとの暮らし


erikaintheislandさんは「家に帰ってきた時にこの作品を見るとどこかホッと安心するような印象を受けると思います。玄関などの誰か人を出迎える場所だったり、寝室などに自分を見守ってくれる存在として飾って楽しんで頂けたら嬉しいです」とこの作品に込められた想いについて話しています。


紙を編み込む立体感的な表現


《おかえり》の中に描かれているネコが座っているマットは一枚の紙にペンシルを使って描くのではなく、あえて色の異なる紙を編み込んで描くことで、より立体的なマットを表現しています。


↑《おかえり》部分


紙を編み込んだマットの表現はerikaintheislandさんの他の作品でも用いられています。


↑《お気に入りの靴》


私の帰りを迎えるネコの表現


《おかえり》の中に描かれているネコをよく見てみると、まるで飼い主の帰りをずっと待っていたかのような何かを言いたげそうな表情のネコが描かれています。ネコの表情を工夫して描くことでこの作品に込められたerikaintheislandさんの想いが表現されています。


↑《おかえり》部分


アートを通して広がる自分の想像力


《おかえり》は色の異なる紙を編み込んで描かれているマットなど貼り絵ならではの技法から生まれる立体感や質感を味わうことのできる作品となっています。ネコの表情から「このネコはこんなことを言っているのかな」「このネコはこんなことを思っているのかな」と自分の中で色々な想像を膨らませながら絵を鑑賞することもこの作品の一つの楽しみ方です。


《おかえり》を通して是非貼り絵ならではの立体感や質感と同時に自分ならではの想像を楽しんでみてはいかがでしょうか。




最後に


今回は誰のどんな空間にも飾ることのできるアートを描くerikaintheislandさんの作品についていくつか紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。


Casieにお預け頂いているerikaintheislandさんの作品には「男性のある人」と「女性のある人」が主人公となっている2つの物語を「絵」として描いた作品たちがあります。


一見すると一つの作品ですが、erikaintheislandさんの作品全体を見渡すと色や質感をはじめとした様々な共通項が見えてきます。そんな各作品の中にある共通項から見えるストーリーと共に自分なりの想像を膨らませてアートを楽しんでみてはいかがでしょうか。